出会い系のこんな対策
Kチャンを不良じゃないか、と誤解する方がいるかもしれない。
それではKチャンに気の毒だ。
彼女の教育者としての優れた行動力を紹介しておきたい。
彼女は長距離通勤ごときで体調を崩す私を鍛えるため、夜な夜な遊びに連れて歩いた。
デートや就職活動で疲れた私を、彼女のマンションでゆっくり休ませてくれるかと期待した私は、甘かった。
彼女は新宿、渋谷、六本木と、飲んで食ってオトコと遊び、夜明けの牛丼で締めくくる、というハードスケジュールを共有することを、私に課したのだった。
ある時、渋谷のホストクラブに連れて行かれた。
「安い店だから、だ・い・じょ・う・ぶ」薄暗い店内は、どこのステージ衣装か、と見紛うようなハデハデなお洋服を身につけた女性たちでいっぱいだった。
彼女たちはたいてい、重そうな指輪や腕輪、首輪をきらめかし、鼻からタバコのケムリを勢いよく吹き出すことで、威勢の良さを誇示していた。
ちなみに、Kチャンも、上から下までビシッと黒で決めている。
私は上から下まで合わせても、彼女たちの指輪1個分よりお値段のはらないものを身につけているにちがいなく、今さらふんぞり返ってみても、タバコをくわえて虚勢をはっても、カッコはつかないと観念した。
おとなしく、観察してようと。
私のビンボーな装いにもかかわらず、Kチャンの顔のおかげで、席には「あんた、J事務所に履歴書を送ったこと、あるでしょ」というような、かわいい男の子がついた。
「さあねえ、じゃないよ、Nチャン。
ダンナはいったい、どう考えてんのよ」嬉しい、楽しい、ワクワクする、って気分でないことはたしかだろうな。
「さあねえ」「彼女、離婚しそ−なんだよ−」Kチャンがホストくんに告げ口する。
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